ギュンター
金髪に紫の瞳で
長身の美丈夫。
身長 198cm
若い頃は素晴らしい体格と美貌で
モテまくってました…。
「幼い頃」なんかは完全に全盛期ですね。
教練時代から、寄って来る男女に
断りを入れるのに苦労したようです。
でも性格は、野獣です……。
このアースルーリンドで金髪と言えば、野獣……。
のごとく、そういう血統なんでしょうかね。
「ファントレイユとの出会い」では
中央護衛連隊の、隊長をしていますね。
「幼い頃」第五章では
ギュンターが護衛連隊長に成る
いきさつを描いてます。
剣は自己流ですが、ともかく、喧嘩に強いタイプですね。
剣の、腕が立つというよりも。
「負けるのは嫌だ」という気迫と
反射神経とカンの良さで
抜群の強さを誇ってます。
中央テールズキース地方出身だけど
辺境で中央護衛連隊の目の行き届かない
外れの荒れ地で、盗賊の洗礼を受け続ける
特殊な土地柄に育つので、価値観もそりゃ
人並み外れています。
生い立ちについては「確かなもの」
で、少年ギュンターが語られています。
実の母は自殺。
その姉が義母。
父親は彼の事を知らない。
と、結構複雑な出生です。
…の割には、暗さとか
繊細さには無縁の男ですが。
家訓の旅に出ていて、教練(騎士の王立専門学校)
には、16の年に編入してます。
鍛え抜いた者達が集うだけで無く
二年も遅れて入るには
そりゃ厳しい試験が待っていますが
ギュンターは受かります。
野獣だったので、喧嘩はお手の物。
野獣大歓迎。
暴れん坊いらっしゃい。の所なので
当然受かるでしょう。
で、一級下だった当時15のローランデに
一目惚れ。
ローランデは入学当初から
剣の学年混合剣術試合で
並み居る上級生を片っ端から蹴散らし
最高峰ディアヴォロス(後の左将軍)と対戦。
学校中にその名を轟かせた学校一有名な剣士。
誰も彼を恋愛対象に考えない中
ギュンターはその当時居なくて
ローランデの凄さを見てなかったので
迫り倒してとうとう
剣の試合で決着を申し出
惚れた一念で粘り倒して
何と、ローランデに勝ってしまいます。
この辺りは「シェンダー・ラーデンの恋人」で
語られてますが、初夜、やっぱり
ローランデさん側から見ると
最悪にやらしいのに
ギュンター側は爆笑ものですね。
勝ったはいいけど
翌朝起き上がれない程
死にそうなくらいの筋肉痛で。
しかも相手はバージン。
普通のヤツなら、「別の日に」と断りを入れる筈。
それでも投げ出さないのが
ギュンター。
折角ローランデの方から
差し出しに来てくれた。と実は
内心感激ものだったんでしょうね。きっと。
惚れた一念岩をも通す。
ってカンジですね。
でも結局この時ローランデさんを泣かせて
誇り高い彼を追い詰めたせいで恨まれて
10年以上思い続けてようやく
受け入れてもらえる。
馬鹿も、貫き通すとあまりにも馬鹿過ぎて
相手の強い情も、溶かしてしまうんですね。
このテは大人のファントレイユが
ギデオンに使ってます…。
このテの馬鹿は、状況が近衛。という
背景も手伝って
「相手の為なら死んでもいい」
という計算度外視の入れ込みようで
相手を射落とします。
…まあ、ローランデさんは優しいので
当然、そこ迄惚れ込まれたら
逃げ場が無いでしょう…。
しかも常識外れの野獣なので
手に負えませんし
寝技もそりゃあ数こなして
とっても熟達してるので
太刀打ち出来ません。
しかしローランデさんの方も
近衛で名を轟かせた剣士だけあって
モテまくる魅力的な美貌の野獣相手に
10年以上も粘ってやきもきさせ
求愛させ続けるのは
さすがです。
拍手。
§ギュンターに、インタビュー§
ギュンターさん。遊び人と
言うことですが。
「…世間一般の評価だな」
ご自分で相手は誘わない。
と言う噂ですが。
「相手がしようと言うのを断らないだけだ」
…でも、とってもいい。と言う評判だとかで。
どうやって、テクを磨いたんでしょうか?
「…相手が色々してくるから
いいな。と思うのを次の相手にしてみるだけだ」
…つまり、それがウケてまた評判が上がる?
「まあ、それを繰り返していく内に
経験豊富に、ならないか?
普通」
……お説、ごもっともです…。
では、ローランデさんの事ですが。
「…………」
彼は実際、経験という観点からは
どうなんでしょう?
「………世間の評判通りだ」
ローランデさんが言うには
自分は標準だと、おっしゃってますが。
「標準より絶対、ウブだろう?
世間の男はもう少し色々、知ってるぞ?」
…でも、出会った頃ってローランデさんは確か
教練の二年生…つまり15才って事ですよね?
「………俺が15の時は一通り、知っていたが」
貴方はだって、普通じゃないでしょう?
「……だが、ローランデは
絶対普通の15の男達よりは経験値が低い」
…ええと…。
で、それは、解ってたんですよね?
あの後、世間では経験豊富な貴方が
そのウブなローランデさんを
思い切り弄んだと
非難囂々だったそうですが…。
「……相手が惚れた相手だと
手加減が難しい」
……でも、それはウブな相手に
それは経験豊富な貴方が
思いっきりって、マズく無いですか?
ローランデさんを崇拝する下級生達に
何度も殺気立たれていたとか…。
「結果、そうなっただけで意図してやってないぞ!」
……えーと。
世間の思惑は、二の次だったと。
「俺はそれで無くてもこのツラだしな。
世間の思惑なんて考えてたら
やりたい事も満足に出来ない」
…世間を気にする貴方が
想像出来ませんが。確かに。
「当たり前だ。
実際の俺とかけ離れた世間の
見解にいちいち、合わせてられるか?」
…ですよね。
女性達は貴方が優美な美男なので
ロマンチックな男と、勘違いしていたと
聞きますが…。
「どこをどう見たら、俺がロマンチックになるのか
全く解らない。
オーガスタスやディンダーデンが聞いたら
笑い転げるぞ」
…はい。彼らの見解では
現実思考の塊で
空想癖や想像力は著しく、欠如してる…。
つまり、ロマンチックとは対極に居るとの事ですが…。
「どうして行為に想像力が必要か、理解出来ない。
あれはやるもんで、想像するもんじゃ
ないだろう?」
…ちなみにお聞きしますけど
したいと思って相手が居なかった事って
ありますか?
「そりゃ…近衛で軍人してたらあるだろう?」
…ではもっと、生活規制の少なかった頃は?
「………不自由した事だって
あった……………筈だ」
間が、長いんですが。
「……まああまり、長い間
不自由した思いは確かに無いかもな。
だが…それでローランデの時は
不自由しまくってたのかな」
…オーガスタスさんのご意見では
ローランデさんが誘ってくれないから
彼の時間が空かない間は
お預けを喰らった犬のように
大人しくしていたと。
「…あいつ、絶対、笑ってたろう?」
…笑ってました…。
ちなみに、ローランデさんに誘われたら…。
「飛んで行くに、決まってる!
だが一度も、そんな事は、無い」
………結構付き合いが長いそうですが…
その間、一度も無いんですか?
「…いい、と臭わされた事は
幾度かあるが
そういう時に限ってさすがの俺でも
『ここでするのは、マズいだろう』
って時だ」
…ギュンターさんでも、あるんですか?
そういう時が。
「言ったろう!滅多に、無いって!
で、そういう時ローランデの親父さんが
こっちに来てたりだとか
ローランデにとっての、大事な記念日で
大勢の人に祝福を受ける日で
俺が独り占めしちゃマズいような日だ」
…つまり、貴方が絶対
手が出せないような日に限って
『いいよ』ですか?
「考えようによってはいじめだ。
だが、ローランデの場合、完全に天然だからな。
いじめより、タチが、悪い」
ローランデの息子のマリーエルには
散々タチが悪いと愚痴ったそうですが…。
「愚痴ったと言うか、あいつ餓鬼の癖に
俺の親父の扱いを監視してやがったから
こういう事情だと
教えるしか、無いじゃないか」
でもマリーエルは、貴方が彼の要請に従って
ローランデさんを気遣い面倒を見てくれたから
文句が言えなかったと…。
「…まあ…フェールラと
産まれたばかりのテレッセンに去られた事が
打撃だったみたいだ」
彼らを追っ払ったのは彼の妻、デルアンネだ
そうですが…。
デルアンネの失態でいつも貴方は
ポイント稼いでませんか?
「…知るか!そんなつもりは無い!
いわば俺は、デルアンネの尻拭いだろう?」
…それも、そうですね…。
でもデルアンネが居ず、フェールラだけだったら、
貴方はフェールラに負けていたんじゃありませんか?
「……後年告白されたが、俺があんまり迫るから
避難場所をしてくれたフェールラが必要だったんだと」
つまり、貴方が居なければフェールラさんは
必要無かったと?
「………そう、なるな」
じゃ、もし貴方が迫らなかったら
ローランデさんはどうだったんでしょうか?
「世間の見解だが
あれは並外れた剣士の上
自分の領民を護る守護神のような男だし
自分の使命に疑問すら無い。
俺みたいに遊ぼうとか、全く考えてないから
女を見る目が無い。
俺が迫らなくても
絶対恋愛事情はそれは、ぼんくらだから
デルアンネみたいな大公婦人に収まりたい
派手好きなロクでも無い女に
捕まったに決まってる」
…でも、貴方に迫られて
困惑しまくりの隙だらけだったから
デルアンネにつけ込まれた。という
見解も、あります。
彼に見合った、誠実で心優しい女性と
立派な家庭を築いた。と言う意見は
どう思いますか?
「…彼が恋愛もロクにしないで一人身だったら
きっと彼の誠実な人柄に惚れ込む周囲の男達が
見合った女を、彼に紹介したろうな」
…じゃ、やっぱり貴方が居なかったら
ローランデさんはそれは立派な地方大公として
幸せな人生を送った。とか、
考えてない?
「そんな事は、解りきってるし
俺だって一応、身を引こうとは何度もしてみたんだ!」
…無理だった?
「…出来てたら、こんなにしつこく
思い続けてるか?!
大体、近衛で激戦続きで、
俺だってこんなに長生きするなんて思ってなかった。
戦闘で、部下を見捨てる事は絶対出来ないし
自分の身だけ考えてられないから
絶対どこかで零れた部下と一緒に、死ぬ。
と、思ってた。
ディンダーデンと来たら
俺が死ぬと代わって隊長しなきゃならないから
まだ近衛でひよっこの俺を庇い通すし…」
死にそびれた?
「そうだ。文句はあいつに、言ってくれ!
18の後半で隊長で、19の年当たりは
一番ヤバかった時期だし
オーガスタスにも、やり用を考えないと
死ぬと、言われていた。
だが、負傷した部下を見捨てる位なら
自分が死んだ方がマシだと思ってたから
その通り貫いた。
それはそれで、納得いく、いい人生だろう?
だが、五度程かなりヤバかったが
ディンダーデンが必ず、助けに来る。
あいつ、ああ見えても近衛で一目置かれる
腕の立つ男だったしな」
……そうですね。
彼は気の済む迄大暴れしたくて
近衛に入ったとか。
「戦闘ではどれだけ暴れても
文句が出ないどころか、腕が立つと
持ち上げられて最高だと、言っていた」
隊の中ではディンダーデン。
そして近衛の陰謀の中では、
結局オーガスタスに助けられていたと?
「…そういう事に、成る。
教練に編入した時
代々俺の家系が近衛に行かないのは
男達が皆、仲間を見捨てられずに
助けに行って命を落とすからだと聞いた。
だから、それ位なら領民の為に死んだ方が
マシだと、家系の男達は近衛に行かず
領地を護った。
領地なら、仲間を見捨てられない男ばかりだ。
皆が互いを護るから長生き出来ると」
じゃ、教練に編入した時点で
長生き出来ないと思っていたんですか?
「…それは頭の片隅に、あったから
来るもの拒まずだったし
遊びと言えば、絶対出かけたのかもな」
…で、ローランデさん相手にも
全力投球、しちゃったんですね?
「だって思い残す事があったら
気持ちよく死ねないだろう?
もう命が尽きると言う時に
あの時あの美人の誘いに乗って置けば良かった。
腕に抱いたら、どれだけ良かったんだろう
…なんて、思って死ねるか?!
悔しくて、魂が迷っちまう!」
…………そういうつもりでローランデさん相手にも
イケイケだったんですね?
「…どうせ20迄生きないと思ったし。
その年で俺が居なく成れば
ローランデだって、本来の自分の
人生を生きられただろう?」
……………。
そういう風だから、いっつも
ローランデさんに、怒られるし
泣かれるって、解ってます?
「………………………」
ありがとう。
もう、解りました。
「解ったのか?」
世間が一斉に、
ローランデさんの味方に
付く筈ですよ。
「……………そうだな」
現在ブログで連載中
まとめ読みはこちら。
長身の美丈夫。
身長 198cm
若い頃は素晴らしい体格と美貌で
モテまくってました…。
「幼い頃」なんかは完全に全盛期ですね。
教練時代から、寄って来る男女に
断りを入れるのに苦労したようです。
でも性格は、野獣です……。
このアースルーリンドで金髪と言えば、野獣……。
のごとく、そういう血統なんでしょうかね。
「ファントレイユとの出会い」では
中央護衛連隊の、隊長をしていますね。
「幼い頃」第五章では
ギュンターが護衛連隊長に成る
いきさつを描いてます。
剣は自己流ですが、ともかく、喧嘩に強いタイプですね。
剣の、腕が立つというよりも。
「負けるのは嫌だ」という気迫と
反射神経とカンの良さで
抜群の強さを誇ってます。
中央テールズキース地方出身だけど
辺境で中央護衛連隊の目の行き届かない
外れの荒れ地で、盗賊の洗礼を受け続ける
特殊な土地柄に育つので、価値観もそりゃ
人並み外れています。
生い立ちについては「確かなもの」
で、少年ギュンターが語られています。
実の母は自殺。
その姉が義母。
父親は彼の事を知らない。
と、結構複雑な出生です。
…の割には、暗さとか
繊細さには無縁の男ですが。
家訓の旅に出ていて、教練(騎士の王立専門学校)
には、16の年に編入してます。
鍛え抜いた者達が集うだけで無く
二年も遅れて入るには
そりゃ厳しい試験が待っていますが
ギュンターは受かります。
野獣だったので、喧嘩はお手の物。
野獣大歓迎。
暴れん坊いらっしゃい。の所なので
当然受かるでしょう。
で、一級下だった当時15のローランデに
一目惚れ。
ローランデは入学当初から
剣の学年混合剣術試合で
並み居る上級生を片っ端から蹴散らし
最高峰ディアヴォロス(後の左将軍)と対戦。
学校中にその名を轟かせた学校一有名な剣士。
誰も彼を恋愛対象に考えない中
ギュンターはその当時居なくて
ローランデの凄さを見てなかったので
迫り倒してとうとう
剣の試合で決着を申し出
惚れた一念で粘り倒して
何と、ローランデに勝ってしまいます。
この辺りは「シェンダー・ラーデンの恋人」で
語られてますが、初夜、やっぱり
ローランデさん側から見ると
最悪にやらしいのに
ギュンター側は爆笑ものですね。
勝ったはいいけど
翌朝起き上がれない程
死にそうなくらいの筋肉痛で。
しかも相手はバージン。
普通のヤツなら、「別の日に」と断りを入れる筈。
それでも投げ出さないのが
ギュンター。
折角ローランデの方から
差し出しに来てくれた。と実は
内心感激ものだったんでしょうね。きっと。
惚れた一念岩をも通す。
ってカンジですね。
でも結局この時ローランデさんを泣かせて
誇り高い彼を追い詰めたせいで恨まれて
10年以上思い続けてようやく
受け入れてもらえる。
馬鹿も、貫き通すとあまりにも馬鹿過ぎて
相手の強い情も、溶かしてしまうんですね。
このテは大人のファントレイユが
ギデオンに使ってます…。
このテの馬鹿は、状況が近衛。という
背景も手伝って
「相手の為なら死んでもいい」
という計算度外視の入れ込みようで
相手を射落とします。
…まあ、ローランデさんは優しいので
当然、そこ迄惚れ込まれたら
逃げ場が無いでしょう…。
しかも常識外れの野獣なので
手に負えませんし
寝技もそりゃあ数こなして
とっても熟達してるので
太刀打ち出来ません。
しかしローランデさんの方も
近衛で名を轟かせた剣士だけあって
モテまくる魅力的な美貌の野獣相手に
10年以上も粘ってやきもきさせ
求愛させ続けるのは
さすがです。
拍手。
§ギュンターに、インタビュー§
ギュンターさん。遊び人と
言うことですが。
「…世間一般の評価だな」
ご自分で相手は誘わない。
と言う噂ですが。
「相手がしようと言うのを断らないだけだ」
…でも、とってもいい。と言う評判だとかで。
どうやって、テクを磨いたんでしょうか?
「…相手が色々してくるから
いいな。と思うのを次の相手にしてみるだけだ」
…つまり、それがウケてまた評判が上がる?
「まあ、それを繰り返していく内に
経験豊富に、ならないか?
普通」
……お説、ごもっともです…。
では、ローランデさんの事ですが。
「…………」
彼は実際、経験という観点からは
どうなんでしょう?
「………世間の評判通りだ」
ローランデさんが言うには
自分は標準だと、おっしゃってますが。
「標準より絶対、ウブだろう?
世間の男はもう少し色々、知ってるぞ?」
…でも、出会った頃ってローランデさんは確か
教練の二年生…つまり15才って事ですよね?
「………俺が15の時は一通り、知っていたが」
貴方はだって、普通じゃないでしょう?
「……だが、ローランデは
絶対普通の15の男達よりは経験値が低い」
…ええと…。
で、それは、解ってたんですよね?
あの後、世間では経験豊富な貴方が
そのウブなローランデさんを
思い切り弄んだと
非難囂々だったそうですが…。
「……相手が惚れた相手だと
手加減が難しい」
……でも、それはウブな相手に
それは経験豊富な貴方が
思いっきりって、マズく無いですか?
ローランデさんを崇拝する下級生達に
何度も殺気立たれていたとか…。
「結果、そうなっただけで意図してやってないぞ!」
……えーと。
世間の思惑は、二の次だったと。
「俺はそれで無くてもこのツラだしな。
世間の思惑なんて考えてたら
やりたい事も満足に出来ない」
…世間を気にする貴方が
想像出来ませんが。確かに。
「当たり前だ。
実際の俺とかけ離れた世間の
見解にいちいち、合わせてられるか?」
…ですよね。
女性達は貴方が優美な美男なので
ロマンチックな男と、勘違いしていたと
聞きますが…。
「どこをどう見たら、俺がロマンチックになるのか
全く解らない。
オーガスタスやディンダーデンが聞いたら
笑い転げるぞ」
…はい。彼らの見解では
現実思考の塊で
空想癖や想像力は著しく、欠如してる…。
つまり、ロマンチックとは対極に居るとの事ですが…。
「どうして行為に想像力が必要か、理解出来ない。
あれはやるもんで、想像するもんじゃ
ないだろう?」
…ちなみにお聞きしますけど
したいと思って相手が居なかった事って
ありますか?
「そりゃ…近衛で軍人してたらあるだろう?」
…ではもっと、生活規制の少なかった頃は?
「………不自由した事だって
あった……………筈だ」
間が、長いんですが。
「……まああまり、長い間
不自由した思いは確かに無いかもな。
だが…それでローランデの時は
不自由しまくってたのかな」
…オーガスタスさんのご意見では
ローランデさんが誘ってくれないから
彼の時間が空かない間は
お預けを喰らった犬のように
大人しくしていたと。
「…あいつ、絶対、笑ってたろう?」
…笑ってました…。
ちなみに、ローランデさんに誘われたら…。
「飛んで行くに、決まってる!
だが一度も、そんな事は、無い」
………結構付き合いが長いそうですが…
その間、一度も無いんですか?
「…いい、と臭わされた事は
幾度かあるが
そういう時に限ってさすがの俺でも
『ここでするのは、マズいだろう』
って時だ」
…ギュンターさんでも、あるんですか?
そういう時が。
「言ったろう!滅多に、無いって!
で、そういう時ローランデの親父さんが
こっちに来てたりだとか
ローランデにとっての、大事な記念日で
大勢の人に祝福を受ける日で
俺が独り占めしちゃマズいような日だ」
…つまり、貴方が絶対
手が出せないような日に限って
『いいよ』ですか?
「考えようによってはいじめだ。
だが、ローランデの場合、完全に天然だからな。
いじめより、タチが、悪い」
ローランデの息子のマリーエルには
散々タチが悪いと愚痴ったそうですが…。
「愚痴ったと言うか、あいつ餓鬼の癖に
俺の親父の扱いを監視してやがったから
こういう事情だと
教えるしか、無いじゃないか」
でもマリーエルは、貴方が彼の要請に従って
ローランデさんを気遣い面倒を見てくれたから
文句が言えなかったと…。
「…まあ…フェールラと
産まれたばかりのテレッセンに去られた事が
打撃だったみたいだ」
彼らを追っ払ったのは彼の妻、デルアンネだ
そうですが…。
デルアンネの失態でいつも貴方は
ポイント稼いでませんか?
「…知るか!そんなつもりは無い!
いわば俺は、デルアンネの尻拭いだろう?」
…それも、そうですね…。
でもデルアンネが居ず、フェールラだけだったら、
貴方はフェールラに負けていたんじゃありませんか?
「……後年告白されたが、俺があんまり迫るから
避難場所をしてくれたフェールラが必要だったんだと」
つまり、貴方が居なければフェールラさんは
必要無かったと?
「………そう、なるな」
じゃ、もし貴方が迫らなかったら
ローランデさんはどうだったんでしょうか?
「世間の見解だが
あれは並外れた剣士の上
自分の領民を護る守護神のような男だし
自分の使命に疑問すら無い。
俺みたいに遊ぼうとか、全く考えてないから
女を見る目が無い。
俺が迫らなくても
絶対恋愛事情はそれは、ぼんくらだから
デルアンネみたいな大公婦人に収まりたい
派手好きなロクでも無い女に
捕まったに決まってる」
…でも、貴方に迫られて
困惑しまくりの隙だらけだったから
デルアンネにつけ込まれた。という
見解も、あります。
彼に見合った、誠実で心優しい女性と
立派な家庭を築いた。と言う意見は
どう思いますか?
「…彼が恋愛もロクにしないで一人身だったら
きっと彼の誠実な人柄に惚れ込む周囲の男達が
見合った女を、彼に紹介したろうな」
…じゃ、やっぱり貴方が居なかったら
ローランデさんはそれは立派な地方大公として
幸せな人生を送った。とか、
考えてない?
「そんな事は、解りきってるし
俺だって一応、身を引こうとは何度もしてみたんだ!」
…無理だった?
「…出来てたら、こんなにしつこく
思い続けてるか?!
大体、近衛で激戦続きで、
俺だってこんなに長生きするなんて思ってなかった。
戦闘で、部下を見捨てる事は絶対出来ないし
自分の身だけ考えてられないから
絶対どこかで零れた部下と一緒に、死ぬ。
と、思ってた。
ディンダーデンと来たら
俺が死ぬと代わって隊長しなきゃならないから
まだ近衛でひよっこの俺を庇い通すし…」
死にそびれた?
「そうだ。文句はあいつに、言ってくれ!
18の後半で隊長で、19の年当たりは
一番ヤバかった時期だし
オーガスタスにも、やり用を考えないと
死ぬと、言われていた。
だが、負傷した部下を見捨てる位なら
自分が死んだ方がマシだと思ってたから
その通り貫いた。
それはそれで、納得いく、いい人生だろう?
だが、五度程かなりヤバかったが
ディンダーデンが必ず、助けに来る。
あいつ、ああ見えても近衛で一目置かれる
腕の立つ男だったしな」
……そうですね。
彼は気の済む迄大暴れしたくて
近衛に入ったとか。
「戦闘ではどれだけ暴れても
文句が出ないどころか、腕が立つと
持ち上げられて最高だと、言っていた」
隊の中ではディンダーデン。
そして近衛の陰謀の中では、
結局オーガスタスに助けられていたと?
「…そういう事に、成る。
教練に編入した時
代々俺の家系が近衛に行かないのは
男達が皆、仲間を見捨てられずに
助けに行って命を落とすからだと聞いた。
だから、それ位なら領民の為に死んだ方が
マシだと、家系の男達は近衛に行かず
領地を護った。
領地なら、仲間を見捨てられない男ばかりだ。
皆が互いを護るから長生き出来ると」
じゃ、教練に編入した時点で
長生き出来ないと思っていたんですか?
「…それは頭の片隅に、あったから
来るもの拒まずだったし
遊びと言えば、絶対出かけたのかもな」
…で、ローランデさん相手にも
全力投球、しちゃったんですね?
「だって思い残す事があったら
気持ちよく死ねないだろう?
もう命が尽きると言う時に
あの時あの美人の誘いに乗って置けば良かった。
腕に抱いたら、どれだけ良かったんだろう
…なんて、思って死ねるか?!
悔しくて、魂が迷っちまう!」
…………そういうつもりでローランデさん相手にも
イケイケだったんですね?
「…どうせ20迄生きないと思ったし。
その年で俺が居なく成れば
ローランデだって、本来の自分の
人生を生きられただろう?」
……………。
そういう風だから、いっつも
ローランデさんに、怒られるし
泣かれるって、解ってます?
「………………………」
ありがとう。
もう、解りました。
「解ったのか?」
世間が一斉に、
ローランデさんの味方に
付く筈ですよ。
「……………そうだな」
現在ブログで連載中
まとめ読みはこちら。